WILインタビュー:エイミー・ネルソンさん

エイミー・ネルソンさんのインタビューをご紹介します。

ニューヨーク・メトロポリタン美術館のライティングデザイナーとしてご活躍です。

 

 

 

動画はこちら

womeninlighting.com

 

 

注)

日本語訳ですが、結構端折っている部分や間違っている箇所もあります。

あまりに違うところは修正していきますが、大まかな意訳として大目に見てお読みいただければ幸いです。

 

Q. 自己紹介をお願いします。

皆さんこんにちは、私はエイミー・ネルソンと申します。

ニューヨークにあるメトロポリタン美術館(以下MET)で2013年からライティングデザイナーとして働いています。

はじめはアシスタントとして入ったのですが、2人のシニアデザイナーの仕事に触れるうちにライティングデザインへの興味が大きくなって、学校に戻ることに。

ニューヨークにある大学院でインテリアライティングデザインを学びました。

(※後述ありますが、エイミーさんはもともと学部時代には彫刻を専攻されていました)

学校の授業では私の目を開かせてくれたという感じです。

たくさんの照明手法があって、新しいテクニックや技術があって。

今ではアシスタントとしてではなく、自分で展示のライティングデザインを担当しています。

  

Q. あなたの仕事について教えてください。 

私は展示作品のライティングデザインに特化することが多いですが、美術館全体の光環境づくりにも関わっています。

METには様々なスケールの空間や展示があり、多くのパーマネントコレクションがあります。

展示と搬出のローテーションが頻繁にありますし、作品が貸し出されたりすることもあるので、のんびりはしていられません。

作品の保存状態から、光に対してとてもデリケートな配慮が求められる作品もあり、展示する時間がとても限られる場合もあります。

細かな事ですが、大切な作品を長く守っていく上では必要な仕事です。

私たちのチームでは、まず朝1番にギャラリーに入ってオープン前にリフトなどを使って照明の調整をします。

より良い展示環境のために大小すべての部屋を見て回るんです。

1つの展示で250前後の作品が展示されますが、私たちは普段から学芸員と密にコミニケーションをとりながら、その作品の持つストーリーを伝えます。

作品をベストの位置で楽しんでもらうために、ディテールにこだわるのです。

METで私が好きだなと思うなのは、5000年以上にわたる美術の作品がここに集められているということですね。

紙の作品から写真、彫刻、絵画、映像作品、インスタレーション作品と作品の形式は様々です。

もしそれらの作品を照らす方法が1つしかなかったら、本当につまらないと思います。

美術作品に対しても、また美術館の大きなスケールの空間に対しても、毎日が新しい挑戦をしているような気持ちです。

 

 Q. あなたの「ライティングデザイン」に対する考えを教えてください。

美術館では主にフリーランスのライティングデザイナーが働いているか、照明分野の専門家がいない場合もあります。

そういう場合は普段照明をメンテナンスしている人がその役を担っていたりしますが、

もしも展示のオープニングの日にその見栄えが素晴らしかったとしても、何か問題が起きた時に調整をしてくれる専門家はいません。

その人が美的な感覚や考えを持っていてくれれば、展示期間中に問題が起きても解決してくれるかもしれませんが‥

美術館の規模にかかわらず、照明のスペシャリストがいることで得られるメリットは大きいと思います。

 

Q. あなたの「照明とテクノロジー」に対する考えを教えてください。

私たちはMETで照明の仕事をしていますけれど、例えばルートロンの調光を使うとなれば私たちはすべてのルートロンの機器のことを理解している必要がありますね。

今ちょうどMETでも調光設備をアップグレードしているところなんですが、とても挑戦的なことです。

テクノロジーがどんどん進んでいて、多くのデザイナーが頭を悩ませていることだと思いますが、、毎年多くのプロダクトが製品化されて、マーケットの中にたくさんの選択肢があるなかで、クオリティーの高い製品を探し出す必要があります。

それからテクノロジーの進化を逃さないために、ライティングデザイナーの1つの技術として学ぶ必要があります。

他の分野の専門家に頼る時も出てきますし、今のテクノロジーはすでに光の色味の調整だけの話ではなくなっています。

本気で全部自分でやろうと思ったら、コンピュータープログラマーのような技術も必要になりますし。

ですから自分の技術や知識を常にメンテナンスしていくことが大切です。

例えば私たちの美術館でこういう器具が欲しいんですよねと言って、それが見つかったとしても、4年後にはその技術はもう既に古くなっている。そうなればうまくはいかないでしょう。

技術をアップデートしていく費用も含めて、どうテクノロジーと歩幅を合わせていくのか。

そうしたことも予算として考えなければならないと思います。

少し前まではハロゲンライトが主流で、ストックをどのくらい持っておくのかや器具の交換時期を予測して運営することができましたが、今はLEDに変わりつつあるので同じ方法論ではうまくいきません。

例えば7年後まで補修が必要なかったとしても突然に大きな予算が必要になったりすることも考えられます。

たくさん考え直すべきシステムのあり方があるんだと思います。

LEDは驚くほど有益なものですし、テクノロジーも器具の開発に伴って進化していく。

LEDライトは確実にいまだに新しい光源ではありますけど、主要な光源として使われていくでしょうし。

Q.時間があったらどんな研究をしてみたいですか?

私はLEDに関して公共のスペースでたくさんの経験を積んでますけれど、多くの場所でLEDはまだまだ不快に思える見え方や使い方であることが多いですね、、

器具が見えにくいように配置してあったり、強い光を拡散させたりする方法で使われてはいますが、多くの場合、明るすぎるのがとても気になります。

それと、私のバックグラウンドは彫刻専攻なので、作品を照らしだすことももちろん興味深いですが、器具のデザインにも興味がありますね。

 

Q.あなたのお気に入りのプロジェクトを教えてください。

一つ一つのプロジェクトがとても際立っているものなので、、、

METブロイヤービルでブラジルのリージャ・パぺと言うアーティストの展示を担当したことでしょうか。

彼女がビルのいちばん大きなフロアで展示をしたことがあったのですが、作品はミックスメディアなものだったのでその照明をやるのはとてもチャレンジングでした。

紙の作品から彫刻まで彫刻、映像作品、インスタレーションまで多岐に渡りましたが、この展示に携われてとても良かったと思います。

特に最後の展示室の作品は驚きに満ちたものでした。来館者がブラックボックスの中に入るとそこには金の糸が天井から吊るされていて、、、驚くべきインスタレーションの世界があるんです。これまでの人生の中でも彼女のスタジオと仕事ができてとても光栄でした。

暗い空間の中に天井のグリットに合わせて光の筋が降り注ぐ世界を作る。これは本当にチャレンジでした。ベストの位置と光源で金の糸を光らせるためにもモックアップを使って検証する必要がありました。

とても素晴らしい展示になったと思います。

 

Q.あなたにとっての「挑戦」はどんなことですか?

この仕事を始めて、私は自分をアーティストからデザイナーへと進化させていったように思います。

私のメンターであるリチャードさん、クリントさんとともに、アシスタントの仕事からプロジェクトデザイナーの仕事へと、都度に役割を変化させながら自分自身の仕事を構築してきました。

今では主導権を持って展示のライティングデザインを担当するまでになりました。

 

Q.あなたに強く影響を与えた人はいますか?

クリント・カラーさんとリチャード・リックさんは、私にとって特に影響力が強い人たちですね。

私のライティングデザイナーとしての修練やキャリアにとって欠かせない人たちです。

二人とも本当に豊かな知識と経験に基づいた技術を持っていて、彼らと共に働くことで多くのことを学んでいます。

私に対して我慢強く接してくれますし、知識を余すところなく分け与えてくれます。

 

Q.あなたのインスピレーションの源はどんなことですか?

そうですね、光は全てであり、どこにでもある。

光は私にとって芸術としてあり、ある空間をどのように経験しそして自然環境も私に気づきや驚きを与えてくれる存在です。

それから、照明の周りにあるコミュニティーもそうです。

今後どんどん関わって行きたいと思っているのですが、照明のコミュニティーに参加するとそれがいかに大きな存在かに気づきます。

皆さん様々な道を経てライティングデザインにたどり着いていて、そんな人たちに出会うといつも本当に驚かされますし、励みになります。

 

Q.「WOMEN IN LIGHTING」について思うことを教えてください。

ウーマンインライティングの活動は本当にすごいと思うんです。

私はただプラットフォームを与えられただけで、前に出て経験や物語をシェアしているだけ。

多くの人が気づいていない視点があるかもしれない。

こうした活動によって改めて認識されることが、最初の1歩になっているのかなと思います。

チャンスに飛び込んで、リスクを取ることを恐れないように、女性たちを勇気づけて外に出るように促すことが重要です。

特に不安な時はチャンスがやってきても断ってしまいがちですが、誰しもやってみたいという相反する気持ちがあるじゃないですか。

あなたがもし自分自身を押し出せば、多くの女性たちがすでに他の女性たちをサポートする体制を作り上げようとしていることがわかるはずです。

 

Q.最後にメッセージをお願いします。

リスクをとること。

あなたの内なる声を聞くこと。

あなたのアイデアや貢献に対して信用を得ること。

そして他者をサポートすること。