WILインタビュー:ブリギット・ウォルターさん

ブリギット・ウォルターさんのインタビューをご紹介します。

スペインにあるBMLDというライティングデザイン事務所の創設者であり、デザインプリンシパルとしてご活躍です。

 

 

 

動画はこちら

womeninlighting.com

 

 

注)

日本語訳ですが、結構端折っている部分や間違っている箇所もあります。

あまりに違うところは修正していきますが、大まかな意訳として大目に見てお読みいただければ幸いです。

 

Q. 自己紹介をお願いします。

ブリギット・ウォルターと申します。

バルセロナにあるBMLDと言うライティングデザイン事務所の創設者で、デザインプリンシパルとして働いています。

私が照明業界に入ったのはもうずいぶん昔のことです。出会いは偶然でした。

そのころ私は建築設計事務所インターンシップをしていて、バルセロナにあるオフィスビルの設計に携わっていたのですが

その案件は昼光について解決すべき問題がたくさんあったんです。

それがきっかけで、少しずつ照明と空間のことを学んでいきました。

とても面白かった。それでもっと照明のことを勉強したいと思ったんですが、

90年代のスペインでは照明をメインで学べる学校はほとんどなかったんです。

そこでニューヨークにあるパーソンズデザインスクールの大学院で照明を勉強することにしました。

無事学校に入ることができ、その後ニューヨークには10年間住んでいました。

私のキャリアはホートン・リー事務所から始まって、次はブランドストン事務所で働きました。

その時出会った人たちは皆私の良き指導者ですが、バーバラさんは特に素晴らしい方でした。

そうして2001年、バルセロナに戻ってスタジオを開くことに決めたんです。

当時のバルセロナでのライティングデザインの仕事は文字通り砂漠というか…ほとんど仕事がありませんでした。

私にとっても同僚にとっても、とても大変な時期でしたね。

私たちはバルセロナで大学院のプログラムを始めることにしたので、いろんなことが同時に動いていましたね。

 

Q. あなたの仕事について教えてください。 

私たちは普段常設の建築空間の照明デザインをやることが多いんです。

ごくたまに短い期間でのインスタレーションをやることがありますが、メインの仕事ではありません。

私たちの仕事は空間や機能を分析するところから始まり、建築空間を光で統合させる方法を提案します。

機能的な要求を満たすため空間機能に追随したり、経済的な面やレギュレーションを満たすための提案をします。

省エネ的な観点からも照明の制御を通じて機能面をより良いものにし、空間の深さ、アクセント、対比、素材を強調するのです。

 

 Q. あなたの「ライティングデザイン」に対する考えを教えてください。

ライティングデザイナーというのは、デザインチームにとって1つのカギとなる構成要素だと思います

照明を勉強し始めたばかりの学生たちに教えるときにこんなふうに説明するんですが

例えば私たちがオーケストラの一員だとして、まず建築家は間違いなく指揮者ですよね。

そして私たちライティングデザイナーは…フルートのような存在だと思うんです。例えばね!

フルートなしでもオーケストラを演奏することはできるし、他の楽器がそのパートを代わりに演奏することもできる。

でも聴衆にとっては、同じには聞こえません。

ライティングデザイナーの主な役割と言うのは人の知覚に機能して、空間やオブジェクトを照度、色温度、配光、システム制御に至るまで与件に対して正しく提供する事が重要ですが、

何より空間機能や時間の許す限り、プロジェクトの視覚的なアイデンティティーを確立することだと思います。

 

Q. あなたの「照明とテクノロジー」に対する考えを教えてください。

この質問はインタビューを受けているみんなにしているものだと思うんですけれど

照明業界全体が今とても大きな変化の中にいます。

LEDの進化が始まって、LEDは私たちに新たな視点や変化を与えてくれました。

照明光源の世界が大きく変わった。デジタル化したんです。

それまでの従来光源の電気的なオン・オフに対して、コントロール可能な光であるLEDという位置付けがされた。

LEDが台頭しはじめてもう10年ぐらい経ったんじゃないかしら、私たちは今やLEDを従来光源のように十分に使うことができます。

コントロールと言うのは1つの時間的な問題ですが、LEDはそれに適していると言えます。

今後のポイントはいかに情報を集めてそして使うかということになるかと思います。

これについてはすでにいくつかの実験などで検証されていますが、例えばウインドウディスプレイを見ている人が

何を見てるか、どのくらいの長さ見ているかなどを観察して情報を集めますよね。

そうした観察情報を集めていって、光をどんな風にすればそこにふさわしいムードを作ることができるのかをデータ化するんです。

例えばある人が怒っていることが情報として入ったら、家に帰ったときに何もしなくても光が優しいものに変化するとか。

どのくらい実現性があるかはなんとも言えませんが、実際物販店舗などのマスマーケットではすでにデータに基づいた消費者心理を意識して光を作っていたりします。

いろいろな意見があると思いますが、私は個人的には、生物学的なリサーチが照明の効果と結びつけばいいと思っています。

私たちの身体や振る舞い、健康に光がどのように影響与えるのか、そうしたことがマーケットにシェアされたらと思います。

 

Q.時間があったらどんな研究をしてみたいですか?

機会があれば人の健康に関するプロジェクトに関われたらと思います。

例えばリトリート施設なんてやってみたいですね。

とても特徴的なニーズがあるジャンルの仕事だと思いますが、

例えばあなたがそういう施設に行くとして、もちろん西洋とアジアの文化は違いますけど、

人は良い体験、特別な体験を期待しますよね。

光もそうした楽しみのプロセスの一部であってほしいと思います。

短い期間で良いのでそういうものをやってみたいです。

 

Q.あなたのお気に入りのプロジェクトを教えてください。

そうですね、私たちは楽しいプロジェクトをたくさんやってきましたけれど、

選ぶとすれば最新の2つのプロジェクトをあげたいと思います。

どちらも違った意味でエキサイティングなプロジェクトでした。

1つ目は「ズー」というレストランです。

私たちは素晴らしいチームに恵まれました。

全員が腕の立つプロフェッショナル集団で、私たちは他のプロジェクトと同じように

インテリアデザイナー、建築家、エンジニアとコラボレーションしながらプロジェクトを進めたのですが、

このときは舞台照明のデザイナーともコラボレーションしたんです。

それからショーを運営する会社にインハウスデザイナーがいて、ショーの部分もプロジェクトの大きな部分を占めていたので、

結果的に舞台照明と建築照明が同じスペースで機能するという、素晴らしい結果をもたらしました。

もう一つのプロジェクトはバルセロナにある商業施設です。

このプロジェクトは本当に予算がなくて。

建築家やインテリアデザイナーとともに、特徴的な動きを持つ5つの光のシーンを作って

それらを繰り返す独自の演出システムを作ったのですが、驚くべき仕上がりとなりました。

 

Q.あなたにとっての「挑戦」はどんなことですか?

これまでのキャリアの中でたくさんのチャレンジがありましたが、1番大きな困難だったのは2017年に父を病気で亡くし、その後すぐにプロジェクトのチームメンバーを亡くしたことです。

近しい人をなくすのは人生の中で最も辛い経験であることがわかっていますが、とても忙しい時期で、プロとしてすべき仕事がありました。

一緒にプロジェクトを進めてくれている人たちがサポートをしてくれて基本的なところを進めていてくれましたが、彼らも悲しい気持ちを抱えていました。

ずっとそばにいてくれたこと、そして素晴らしい人柄を持った彼らに、この機会に改めてお礼を言いたいと思います。

 

Q.あなたに強く影響を与えた人はいますか?

私はとても幸運な人間で2人の素晴らしい指導者に恵まれました。いや、素晴らしい先生は他にもたくさんいたんですけどね。

いまだに強く記憶に残っているのはジェームス・カーペンター先生です。

彼がパーソンズの先生でいるときに生徒になれてとても幸運でした。

昼光の専門家であるノリス先生も一緒に教鞭をとられていて、素晴らしい経験になりました。

それから、最初にインターンシップに行ったのがバーバラ・ホートンさんのオフィスだったのですが、

デザインについての進め方や視点を与えてくれたのがチョウ・リエンさんです。

彼はインターンシップを終えてからも私のメンターでいてくれました。

それからスコット・マシューさんにも感謝しています。

 

Q.あなたのインスピレーションの源はどんなことですか?

光は本当に予測できない楽しくて美しい素材です。

私たちは幸運なことに毎日光の表情を楽しむことができる。

光のプロであっても、すべてが出来上がって光が点灯するまで、どうなるかを正確に知ることはできません。

私はいまだに心配で眠れないことがありますよ。

 

Q.「WOMEN IN LIGHTING」について思うことを教えてください。

労働における男女平等のための闘いが、照明デザインや建築の限界を終わらせることが出来ます。

ですからこのWomen In Lightingのような、投げかけによって促進させる活動に感謝しています。

お互いの仕事を支え合いましょう。

照明デザイナーを目指す次の世代にはきっと女性が多くいるでしょうから

すべての人が自身の専門を生かすことができるよう、少しづつでもよくなっていくことを願っています。

 

Q.最後にメッセージをお願いします。

照明に限ったことではないと思いますが、女性たちにシンプルに伝えたいのは

やりたいと思ったことにトライしてほしいということです。

形式的ではなく、あなたの感情や知性を理解し自分自身をサポートすることだと思います。